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次亜塩素酸・次亜塩素酸分子水溶液|基礎知識

次亜塩素酸水溶液と次亜塩素酸ナトリウム

名前は似ていますが性質は全く違います。


性質の違い

  次亜塩素酸水溶液 次亜塩素酸ナトリウム
生成/製造法 次亜塩素酸ナトリウム水溶液にpH調整剤(希塩酸or炭酸ガス)を特殊技術で混合して生成。※混合方式の場合 水酸化ナトリウム水溶液に塩素ガスを吸収させて製造。
成分 次亜塩素酸 / 水 次亜塩素酸ナトリウム / 水酸化ナトリウム / 水
pH 弱酸性 強アルカリ性
塩素濃度  10 〜 200ppm 50,000 〜 120,000ppm
除菌力
洗浄(漂白)力
消臭力
安全性 ×
残留性 無し 少しあり
刺激臭 無し 少しあり
可燃性 無し 無し
保存性
認知度

希釈混合方式で「次亜塩素酸水溶液」を生成する場合、その原料となるのは「次亜塩素酸ナトリウム」ですが、次亜塩素酸ナトリウムが水溶液中に残っている訳ではありません。


「次亜塩素酸ナトリウム」

塩素成分|次亜塩素酸イオン(ClO-)=漂白成分 が中心で高濃度、長時間の浸漬が必要。

酸化作用を有するアルカリ性の溶液であり、広い抗菌スペクトル、即効性、安価で使い易い反面、粘膜・皮膚への刺激、塩素臭、トリハロメタン生成、脱色作用などアルカリ性溶液としての特性により取扱いに手間がかかるという欠点があります。保存性を高めるアルカリ剤として水酸化ナトリウムを含有。

水酸化ナトリウム|苛性ソーダとも言われる。「苛性=皮膚を侵す」の通り、タンパク質を溶かす洗浄成分。

「次亜塩素酸水溶液」

塩素成分|次亜塩素酸(HClO)が中心で殺菌力・消臭力が高く即効性がある。

次亜塩素酸ナトリウム水溶液のデメリットを解消するために、次亜塩素酸ナトリウム希釈水に pH 調整剤(炭酸ガス、塩酸など)を加えて特殊混合した水溶液(※)。水溶液は弱酸性〜中性であることと、次亜塩素酸(HClO)は有機物と反応すると水になる性質のため人体・環境に優しいと言われています。

※ 混合式方式による生成の場合。

有効塩素成分はpHに依存し水溶液中で存在する割合が変化します。

強酸性域 弱酸性〜中性域 アルカリ性域
塩素ガス(Cl2) 次亜塩素酸(HClO) 次亜塩素酸イオン(ClO-)
殺菌力の強さ|Cl2・HClO >>> OCl- となりますが、有効塩素パワーが最もいかんなく発揮されるポイントが、弱酸性から中性域(pH4~7)で、pH7より高い(アルカリ性)ほど殺菌力が弱くなります。

塩素濃度とは、厳密に言えば Cl2 / HClO / ClO- を足し合わせた量で、その構成比は下図の通りです。

次亜塩素酸水溶液の除菌力

次亜塩素酸水溶液| 50ppm pH6.5 ,  次亜塩素酸ナトリウム希釈水|200ppm pH9 と比較した場合、圧倒的に除菌力に差があることがわかります。

次亜塩素酸水溶液 次亜塩素酸ナトリウム希釈水
有効塩素濃度|50ppm 有効塩素濃度|200ppm
HClO比率|94%( 47ppm ) HClO比率|4%( 8ppm )

巷で謳われる「次亜塩素酸ナトリウムの約80倍の除菌力」は、正しくは「次亜塩素酸の除菌スピードは次亜塩素酸イオンの約80倍」です。 次亜塩素酸ナトリウムにも数%は次亜塩素酸(HClO)を含むため、有効塩素濃度が 1,000ppmを超えれば次亜塩素酸水溶液と除菌力ではほとんど変わりません。これに水酸化ナトリウムの洗浄効果による相互作用が加われば、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の方が除菌力が高いかもしれません。あとは、安全性、即効性、取扱い易さ、コストなどの総合比較判断をユーザーに委ねることとなります。

次亜塩素酸ナトリウム希釈水


次亜塩素酸ナトリウム」(ハイター、ブリーチ、ピューラックスなど)を水で希釈した場合の反応式は

NaClO + H2O ⇒ NaOH + ClO- + H+

これは、いくら水で薄めても塩素濃度|次亜塩素酸イオン が薄まるだけで、アルカリ性が酸性域になり次亜塩素酸水溶液になることはありません。


殺菌力の高い次亜塩素酸(HClO)を生み出すにはpH調整剤を必要としますが、それもただ混ぜればいいのではなく「最適な配分」と「最適なピッチ」で混合することにより、水溶液中の次亜塩素酸(HClO)比率が最大化されます。

食品添加物=安全??


次亜塩素酸ナトリウム製品は食品添加物ですし、希塩酸、炭酸ガスにも食品添加物はあります。 製品説明や安全性についてよく謳われる話として「食品添加物なので安全」と言われますが、では…

次亜塩素酸ナトリウム(漂白剤)をゴクゴク飲めますか?

飲めませんね。死んでしまいます。用途・用法・用量を守っていれば安全ということで、塩であれコーヒーであれ、水であれ 世の中「過ぎると害になるものばかり」です。混合式生成のpH調整剤で使用される「希塩酸」も食品添加物です。これの取扱いを謝ると危険ですが、安心・便利な生活を送る上では不可欠なものです。広告セールスにおいて都合よく誤解を招く表記が氾濫しています。 本稿でも、次亜塩素酸水溶液の有用性を説明する比較として「次亜塩素酸ナトリウム」が危険物のような表現になりがちですが、決してそうではありません。

次亜塩素酸水溶液」も「次亜塩素酸ナトリウム」も正しい場面で正しく使用し、衛生的で健康的な生活に役立てましょう。

 

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